LVA(リンパ管静脈吻合手術)ってなに?

近のことですが、わざわざ高知から東京の病院まで足を運び、リンパ管静脈吻合(LVA)術を行った患者様を診る機会がありました。

手術がどんなものなのか知らない方もいると思いますので、今日はその手術についてのお話をしたいと思います。

目次

リンパ浮腫の外科的治療って?

 

リンパ浮腫の治療は継続することが大変なんです。

リンパ浮腫の治療は

  • 保存的治療(理学療法)
  • 外科的治療(手術療法)

の二つに分けられます。

一つ目の保存的治療は、一定の効果が得られる反面、効果を維持するためには治療を継続する必要があります。

実際にマッサージや圧迫療法をされている方は、「これらを一生しなければならないのか」という不安をお持ちの方も多くいらっしゃいます。

貯留したリンパ液を静脈に流し、浮腫を軽減させ、将来への不安も軽減させるのが、外科的治療だと思っています。

2つの目的の外科的治療

  1. リンパの流れを改善する方法
  2. ボリュームを減少させる方法

の2つがあり、1.リンパの流れを改善する方法には、

  • リンパ管静脈吻合術(LVA:Lymphaticovenular anastomosis)
  • 血管付きリンパ節移植術(VLNT: vascularized Lymph node transplantation)

2.ボリュームを減少させる方法には、

  • 脂肪吸引術
  • チャールズ法

などがあります。 詳しくは、岡山大学病院のリンパ浮腫専門ケアチームの記載を参考にしてみてください。

(クリックを押すとリンク先に飛びます)

岡山大学病院 リンパ浮腫専門ケアチーム

リンパ管静脈吻合( LVA)術

現在のリンパ浮腫の外科的治療において、一番行われているのがリンパ管静脈吻合(LVA)術です。

保存的治療で十分効果が得られない四肢リンパ浮腫に対し、口径0.8mm以下の皮下静脈と皮下リンパ管を顕微鏡下で吻合し、鬱滞したリンパ液を迂回させるために行っていきます。

手術前にすること

画像診断

手術前にリンパ管の状態やリンパ液の流れを正確に把握するために画像診断をします。

  • リンパシンチグラフィー
  • MRL
  • 蛍光リンパ造影

排液

リンパ管の状態が見やすくするために、圧迫療法(弾性ストッキング+包帯など)でしっかりと浮腫部分の排液を促します。

どのようなときに手術を行うの?

外科手術を行うタイミングとしては、リンパ浮腫を発症してからの期間が短いほうが手術の効果も高いとされていました。

手術の方法や技術の進展により、ステージに応じた治療が考えられるようになってきています。

 

手術はやった方がいい?やらない方がいい?

個人的な見解になりますが、私は患者さんの判断でいいと思っています。

年齢や環境、リンパ浮腫の状態、他の病気の有無やご家族の理解など、一人ひとりによって状況は違います。

例 30歳の女性

人生80歳までと考ても、50年間もの長い間、リンパ浮腫と向き合っていかなければいけません。

そこを考えると少しでも状態の軽いうちに予防という意味も含めて、生活の質を高めてもらうために手術をすることをお勧めするでしょう。

例 70歳の女性

高齢になってくると若い頃に比べて動きは少ないので、血液やリンパ液の生成が減ると同時にリンパ浮腫の状態の悪化は緩やかになります。

また、経験豊富な先生に手術をしてもらうためには、県外へ行かなければならないこともあるため、体力などを考慮する必要も有ります。

手術をした方が状態がよくなる、生活がラクになるという場合において、お勧めするかもしれません。

メリット

  • 傷が小さい手術(低浸襲)
  • 効果がある
  • 再手術も可能

デメリット

  • リンパがうまく流れない場合がある
  • 手術してもマッサージや圧迫療法の併用が求められる
  • 傷は小さいが、跡が残ることもある

手術について

  • 手術時間は4〜6時間
  • 入院期間は数日から1週間程度
  • 最近では日帰りもあり
  • 退院後の生活に制限なし

また手術をしたからといって、リンパ浮腫が完治ということではなく、マッサージや弾性圧迫着衣をしなくていいという訳でもありません。

ですが、蜂窩織炎(炎症)が頻繁に起こっていた方や重度の浮腫だった方にとっては画期的な治療方であることも確かです。

手術に対して前向きでないという方は、一緒に保存療法で改善させていきましょう。  

 


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